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新田の龍爪さん

沼津市戸田新田集落の東側、現在では集落と分断された県道脇の山中に(静岡)龍爪山穂積神社は祀られている。この小社は狩猟を営む人々からテッポウ撃ち(狩猟)の神として「龍爪さん」と呼ばれ、主に新田の猟師たちによって祀られてきた。龍爪さんとはいかなる神で戸田ではいつ頃から祀るようになったのであろうか。

新田の龍爪山穂積神社は、一坪ほどの社屋である。この社屋は、県道の施設工事に伴い昭和50年(1975)に建て替えられたものである。内部は石造りの祠が祀られており、書類をまとめたいくつかの風呂敷包みと木箱が保管されている。その黒い木箱の蓋には朱漆で「龍爪大権現 講中」としるしてある。表書の「龍爪大権現」は、江戸時代以前の神名であり、廃仏毀釈以後、正式には明治8年(1875)に「龍爪山穂積神社」に改名された。表書からみると新田に龍爪大権現が勧進された年代は、少なくとも天保2年(1831)までは遡ることができる。これは静岡県東部の伊豆から裾野市や三島市にかけて存在する龍爪社に残る棟札と比較しても古い方になる。

これは、幕末にペリーが下田沖に現われ、日本が開国を強要された頃、富国強兵を提唱した幕府は農兵を募った。そのころ、伊豆の各地へと龍爪大権現が勧進された。この時代の伊豆という立地から、広がる社会不安を治める役割を果たしたことも考えられる。

ーーー戸田村史 民俗編よりーーー

静岡市葵区平山の龍爪山(薬師岳と文殊岳との双峰を持つ標高1051mの山)のやや下ったところに鎮座する龍爪山穂積神社では毎年4月中旬に「鉄砲祭り」が行われる。添付した映像は駿府鉄砲衆による鉄砲祭りのイメージ映像です。

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